レジンキャストミルク6,7巻より

「晶はね、里緒のことが嫌いになったんじゃないよ。……だから里緒は悲しいの。嫌いになったんなら使ってくれなくて当たり前だよ。でも、嫌いになってないのに使ってくれないなんて晶じゃないよ。だから里緒は悲しいの。晶が晶じゃないから、悲しいの」

「僕はあんたの言うように出来損ないで、あんたの言っていることなんか何はとつわからいがガキで、あんたの目的なんかまったく理解していない莫迦なんだろうさ。でも……それでいい。『世界が狭い』だって?……だからどうした?」

「残念ですが、マスターは逆ギレしました」

「念には念を。百には三百を。そうやって追加の手を怠らないのが、晶クンなんだよ」

「私達は晶クンの駒だ、徹底的に使い、徹底的に切り捨て、徹底的に利用すればいい。遠慮する必要はないよ。いや……遠慮なんてふざけた真似をするなって言った方がいいかな?」

「私の虚軸はもう殆ど残っていないから。佐伯先生は大人だから、里緒ちんは友達だから。みっちゃんはもともと関係ないから。……そんなくだらないことを考えてるようだったら、私達があんたたちを殺してあげるよ。私たちはもう覚悟してるんだ。それを穢すのは赦さない」

「直川たちが選んだのは、直川たちを選んだのはあんたじゃない。この娘よ。
偽者?上等ね。安物の紛い物?いいなじゃない高価じゃなくて。コピー?だったら本物との差なんてない。模型?模型の法が気安く遊べるわ」
「私たちはことごとく偽者の世界で、だからこそ本物に取って代われる図々しさを持ってるの。だからね、鷲野在亜。その贋作に負けた程度のくだらない真作なんて、どっかの博物館の倉庫で大事に埃でもかぶってればいいのよ」
「それがわかったら……すっこんでなさい!」

言い残しておきたいことが山ほどあった。
―――ああ、そっか。
言いたいことが山ほどあるってのは、そういうことか。

ようやく気づいた。
何だ、私。
この世界、好きだったんだ。